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癌治療について

当医院の癌治療の特徴は次の三点である。
(1)癌と共生する。
(2)身心一如。
(3)体温と体重。
説明して行くと

(1)「癌と共生する」とは

初期の癌は別として、癌が進めば進むほど、現代西洋医学での手術は不可能になり、治療が難しくなる。そうなると体力も非常に落ちてしまう。
ここまで来ると、もはや体力を温存していく以外に方法はなくなる。この時、すでに治療時期としては遅いのであるが“癌と共生する”ことを旨いとしている素晴らしい漢方療法がある。


(2)「身心一如」とは

一言でいえば精神の働きを重視したことである。
考えて見ると病気というものは、肉体だけ病むこともなく、精神だけが病むこともない。
従って、精神状態が肉体に影響するところは大きい。
これから、希望こそはすべての患者にあたえる最良最善の薬剤である。


(3)「体温と体重」とは

癌になるような人は全体的に体温が36℃以下のことが多い。
この状態に漢方薬(煎じ薬)で体温を少しずつ上げて行くと、患者さんはとても気持ちが楽になり、癌も熱には弱いと見えて、進行も遅くなる傾向がある。
従って、なるべく体温を36.5℃から36.8℃ぐらいまでに上げておく必要があろう。
漢方医学には、体温を上げるべき生薬が多数ある。例えば、附子や乾姜などである。逆に言うと現代西洋医学には、体温を下げる薬は多数あっても、上げる薬は殆ど無い現実がある。
又、体重は癌が進むほど減少する。

そこで考えることは、漢方薬(煎じ薬)を服用し続けると、食欲が出て来て体重が増して、赤血球、ヘモグロビン、白血球などが増加して来る。
逆に言えば、食欲のある人は癌に負けないのである。
ちなみに当医院に多い癌は、膵臓癌、肝臓癌、肺癌、悪性リンパ腫、前立腺癌、胃癌、大腸癌、膀胱癌、子宮癌などである。

参考までに今から数十年前に出版した筆者著『二十一世紀へのメッセージ』に次のような記載がある。
筆者が先ず第一に考えることは“何とか体力を上げなくては”と言うことである。
西洋医学では、手術を中心に抗癌剤及び放射線治療法などがあり、それらの治療を患者さんの体力の続く限り行うため、患者さんの体力がメッキリと落ちてしまい、その後の治療をどうして行くのか全く予想もつかない状態に陥ってしまうのが通例である。こうなると患者さんは医師に見切りをつけられてしまって、全く可哀想なことになってしまう。これが現実である。

筆者が考えるのに、先ず“病人”と“病気”は全く違うということである。体力をあげて“病人”が元気になって来ると次に“病人”が“病気”を治そうとしてゆくことである。

最後に“癌”みたいな恐ろしい病気は。“病人”を元気にする“漢方医学”と“病気”を治そうとする“西洋医学”の協力が必要不可欠と考える。今までの様に西洋医学だけでは無理と思われる。
ここでは甚だ簡単ですが、当医院で実際に経験した数症例について記しておくと、

(1)小細胞肺癌に紫根牡蛎湯去加方と田七未

患者 73歳男性

初診 平成22年8月22日

症状 主訢は、8月24日に大学病院で精密検査の結果、小細胞肺癌と診断された。肺癌の中では最も悪性度が高いタイプである。
このため、患者さんは「漢方薬で体力をつけて、西洋の治療と併用したい」と言う希望である。
そこで漢方医学的診察を行った。すなわち脈診・舌診・腹診である。
薬方として、紫根牡蛎湯去大黄加附子、茯苓、生姜、白朮と田七末を投与した。

経過

すでに手術が出来ない為に、抗癌剤や放射線治療を適宜行った。
この時に副作用である悪心や嘔吐対策として小半夏加茯苓に橘皮と黄土を加味した。結果は悪心や嘔吐は全く出なかった。
平成22年9月のCTスキャンでは、肺癌の影は縮小していた。
11月24日から26日にかけて最後の抗癌剤治療を行った。
平成23年7月6日からペットと脳のCTスキャンを行い、異常は無かった。
以後も順調に推移している。

健康状態 初診時の体重は59~60kgであったが、平成25年10月1日には体重が60kgになった。平成27年4月1日現在も60kgである。
今回のケースは、癌の中でも最も難しい痰病に対して、漢方薬(煎じ薬)が効果を発揮し患者さんのQOLの向上に役に立った。

(2)急性前骨髄球性白血病

患者 55歳男性

初診 平成13年8月22日

症状 主訢は、平成13年3月10日に大学病院でいきなり、急性前骨髄球性白血病と診断された。 そこで3月10日から8月9日まで大学病院に入院して、抗癌剤を4回投与した。
現在は通院治療を行っている。
症状は貧血気味で、めまいと立ちくらみがある。汗をかき易い。

健康状態 身長178cm。体重69kg。
漢方医学的診察、すなわち脈診・舌診・腹診を行った。
漢方として、加味帰脾湯加芍薬、附子、紫根と三黄散を投与した。

経過

9月20日には体重が72Kgになる。
平成14年・平成15年・平成16年・平成17年・平成18年・平成19年4月28日まで服薬を続けた。

時が経過して、平成27年3月8日に患者さんの自宅に電話をした。その時に出られた奥様の話によると「主人は、その後病気は再発せず、全く健康になり、感冒にもかからず、今日は剣道をするために外出しました。そして、主人と全く同じ病気で同じ年齢であった名優も、その後に同じ病気に罹患し、西洋医学の治療を行ったが、残念なことに亡くなりました。そう考えると、全く主人は先生の治療によって完治したので、今も健康でいられることは大変にありがたいことです。御礼に伺うこともせずどうもすいません」と言って電話を切った。
この言葉は、全く同じ病名であっても、医師の腕によって生かされもし、死亡することもあるということである。
一言で言えば、医師選びは寿命の一つである。

ここで注意しなくてはいけないのは、パソコンに釘づけになっている医師は臨床家としては論外であるということである。これは言うまでもないことで、この様な医師に診てもらう患者さんは誠に不幸である。